2005.08.12

ナンパしちゃいました。ちょっと年上ですが・・・92歳。

今週は夏休みをもらっていました。沖縄に居たのですが、今回は自分を開放する意味でも何もかも忘れて、blogも忘れて、過ごすつもりでしたが、あきませんね。(笑)とってもいい出会いがあったので、紹介します。だって、黙ってられなくて・・・しゃべりですから。

沖縄の海中道路の先の平安座島で、ハル商店という看板を発見。壁にペンキで書かれた看板はいかにも沖縄。喉が渇いていた僕は商店というぐらいだから、何かあるだろうと、そのわき道に入っていきました。小さなお店がありました。昔ながらの雑貨屋さんです。そこにいたのがハルおばあです。沖縄ではおばあさんのことをおばあと言います。「お元気そうですね。おいくつですが」ここから話がはじまりました。おばあは大正3年生まれの92歳、お誕生日は4月3日で巨人軍の高橋君?○○君と同じ・・・この巨人軍のだれだれと同じ誕生日って言うのを3回聞いたのですが、誰か忘れました。ぼけているのは僕の方かも・・・(笑)

おばあは僕を見て「あなたぐらいの人を見ると、あの当時戦争に行った若い人を思い出します」と言いました。
おばあはこの島に生まれて、12歳で川崎に家族で引っ越します。高校を卒業して、就職するのが大阪の岸和田、この時が18歳、その後、転勤で尼崎に、20代半ばで結婚しますが、夫は徴兵を逃れる為にアルゼンチンに移住。一日だけの新婚生活でした。おばあが働いていた、尼崎の軍事工場から若い人がどんどん徴兵されて戦争に行きました。みんなの万歳で送り出しますが、万歳なんて思っている人なんて誰もいなくて、それが辛かったと話してくれました。
戦争が終わって、おばあは夫のいるアルゼンチンに行きます。アルゼンチンで30年雑貨店を営なみます。だから、おばあの言葉は東京弁と関西弁とスペイン語のちゃんぽんです。そんなおばあが70歳ぐらいの時にフォークランド紛争が勃発します。おばあは戦争が大嫌い。戦争がおこると聞いて、日本に帰ってきます。そして、そこから20年です。生まれ故郷のこの家で雑貨店を始めます。おばあには子供がいないのです。でも、寂しくはないです。ここには親戚やら従兄弟やら、一人で居てても、みんなが、「おばあ、どうしてる」とやってきてくれます。お客様も来られます。だから、おばあは気楽に、そして、ぜんぜん寂しくないです。そして、今、おばあは92歳になりました。

55歳で引退するって言っている吉田がなんとも薄っぺらく見えました。(笑)あ??、これが人生なんだ!この平安座島で、おばあに教えてもらいました。おばあから見たら、僕は出征を見送った彼らといくつも変わらない若者なんです。
二人は住所交換して別れました。
2005 夏 沖縄にて

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