2007.02.12
肝高(きむたか)の阿麻和利(あまわり)
中高生が演じる現代組踊りです。組踊りとは沖縄に古くから伝わる伝統芸能で「音楽、舞踊、台詞」で構成される音楽劇です。つまりミュージカルです。日本的に言えば歌舞伎もそうですよね。
1999年から平田大一氏が演出家として子供たちを指導しています。その平田大一氏と出会ったのはもう2年ぐらい前になります。会ったのは沖縄でなく、北海道でした。(笑)会った時から大ちゃんと呼んでるので、ここでも大ちゃんでいきます。
そして、告白ですが、こんだけ大ちゃんファンなのに、実は今回までその舞台を見ていませんでした。
共通の友人から「え、吉田さん、あれだけ親しいのに舞台見たことないの?それは背任行為だよ」(笑)って言われて、今回、勝連町きむたかホールまで出かけました。昨日に100回目を迎えたらしく、今日は記念すべき101回講演でした。子供たちの演劇で、それも同じ演目を100回講演するって、それだけで、そのすごさが伝わってきませんか?劇団四季じゃないんですよ!(笑)
まず、演題の「肝高の阿麻和利」の説明から
肝高(きむたか)とは「気高い」「品位ある」などを意味し、勝連の高い生活文化を讃える町の美称です。阿麻和利(あまわり)はこの勝連の10代目の按司(あじ)、つまり王様です。その阿麻和利の物語です。
原作は嶋津与志氏、演出は大ちゃん、そして、音楽が松永太郎氏です。
この勝連町には勝連城の遺跡があります。その勝連城が舞台です。その勝連城跡に地元の中学生が年に一度の「幻の村祭り」の真偽を確かめる為に忍び込むところから始まります。現代と500年前の阿麻和利の時代をタイプスリップして物語は進みます。
大ちゃんは現代版組踊りと言ってますが、わかりやすく言えば沖縄伝統ミュージカルです。ミュージカルなら僕は踊り、音楽、お芝居の順に楽しみます。
そして、この「肝高の阿麻和利」はその順に完成度が高いように思いました。踊りは子供たちの練習の量がひしひしと伝わってきました。特に女子のアンサンブルがよかったです。大ちゃんの腕の見せ所ですよね。
次に音楽がよかったです。会場にはオケボックスがあって、きむたかバンドの面々が入っていました。ボーカルの女の子にコーラスが2人、パーカッションが3人、和太鼓、シンバル、その他、打楽器です。そして、キーボード、ドラム、ギターです。このギターの子は三線も引きます。現代楽器と沖縄の伝統楽器がミックスして独自の世界を作っています。舞台でも琉球舞踊やエイサーなど沖縄の伝統芸能もいっぱい登場します。
演じる方も観る側も、この物語から自分の郷土、勝連に誇りを持つようになると思います。その意味では本当にいい脚本になっています。演劇を通じて、自分たちの町の歴史を知り、それに興味を持ち、そして、誇りに思う。地域が元気になるのはこの「誇り」が大切です。そして、どんな村にも、町にも、誇れる歴史があるのです。
「肝高の阿麻和利」の成功はその脚本にもあります。台詞には方言がふんだんに使ってあります。この方言をうまく翻訳するナビゲーターは勝連城の遺跡に迷い込んだ中学生の女の子二人という設定しなっています。
勝連の歴史と今がつながり、世代を超えて町のみんながつながり、それが勝連の未来につながっているように感じました。
会場を見渡すと赤ちゃんからお年寄りまでみなが楽しんでいました。
大ちゃんの活動が地域の子供たち、親たち、行政・・・町全体を巻き込んで地域を元気にしています。「こんなことが出来るんだ~」純粋にびっくりするし、可能性を感じます。彼がこのきむたかホールの芸術監督(?)になって活動を始めた1999年、最初は子供たちが6人しか集まらなかったそうです。彼も他から来て、この勝連を元気にしたわけです。何か?天から来た阿麻和利と通じるものがあります。
講演が終わって、劇団のみんながホールで僕たちお客様を見送ってくれました。そこには等身大の子供たちがいました。中学生、高校生達です。舞台衣装に派手なメーキャップですが、舞台から降りた子供たちは普通の男の子に普通の女の子でした。舞台ではあんなに大きく見えたのに・・・・うむ~、これが大ちゃんマジックか!
勝連のみなさん、ありがとうございました。久しぶりに本物に会えました。
大ちゃん、またね。